872、豊かなスポーツ環境を目指して

答申を策定するに当たって、審議会で私は障害者卓球でパラリンピックを目指していた競技者として、全国の体育館で試合をしてきた経験から県下の施設を比較して、冷暖房設備の不備や災害時避難所としての機能が果たせるかどうかなどについて指摘させていただきました。施設整備については国体に向けて単年度の予算では対応できないのではないか。国体の後行われる障害者スポーツ大会へ対応できる宿泊施設も少なく民間事業者の協力を必要とし、早期の対策が求められるのではないか。学校現場における指導者不足、優秀な競技者の県外流出など憂いでいることについて、発言の機会を与えていただきました。縦割り行政では担当課が違い難しいとされる提案についても、例えば介護予防の観点から高齢者スポーツの推進、体力づくりにおける栄養指導・食育の必要性など、スポーツという観点から総合的に基本計画を策定するために教育委員会と他課との連携した取組や対策を文言の中に盛り込んでいただきました。

 県教育委員会には、本答申を踏まえ、パブリックコメントとして県民の意見を取り入れて、本県の今後のスポーツ振興方針の指針となる「和歌山県スポーツ振興基本計画」を策定し、豊かなスポーツ環境を目指してなお一層スポーツ振興に取り組んでいくことを期待しています。

871、スポーツ振興基本計画の5つの課題

課題の具体的方策として、①では世代間交流や地域の連帯意識の高揚など地域社会の活性化に寄与する「総合型クラブ」の育成を目標としています。②では競技者の発掘・育成・強化のため「ゴールデンキッズ発掘プロジェクト」などにより、小学3年生・4年生を対象に優れた素質を有する子どもたちを組織的・継続的に育成するプログラムを実施しています。③では学校,家庭、地域、行政が連携したレクリエーションの推進や心身のバランスのとれた体つくり、規則正しい生活習慣を身に付けることを重要視しています。④では財政事情を考慮しながら整備・充実に努める必要性を認識しています。また、学校施設の地域への開放もニーズに応じ努めたいとしています。⑤については8年後に向けて県民参加による工夫を凝らした国体が活力に満ちたふるさとづくりに寄与し、和歌山の魅力を全国に発信することを目標としています。国体が起爆剤となり、開催後においても県民の意識高揚と継続したスポーツ振興が図られることが望ましいことです。

870、スポーツ振興基本計画の課題

スポーツ振興基本計画策定に向けて5つの大きな課題を挙げました。①生涯スポーツ社会の実現に向けた、地域におけるスポーツ環境の整備充実 ②本県の競技力向上 ③スポーツ振興を通じた子どもの体力の向上 ④体育・スポーツ施設の整備充実 ⑤第70回国民体育大会の開催の5つについて検討課題として現状を分析し、数値を挙げて目標を設定しました。

869、和歌山県スポーツ振興審議会

平成14年3月より10年間社会福祉法人和歌山県身体障害者連盟理事という立場で学識経験者として和歌山県スポーツ振興審議会委員をさせてもらいました。当時は、和歌山県身体障害者スポーツ協会の評議員で県障害福祉課と県教育委員会とのパイプ役になるよう県スポーツ賞選考委員として、表彰における障害者と健常者の大会の垣根をなくす選考基準改正作業に当たっていました。審議会が慌ただしくなってきたのは、二巡目国体開催に向けた気運が高まり現実味を帯びてきたからです。平成18年7月4日付けをもって県教育委員会から本審議会に対し、「和歌山県におけるスポーツ振興基本計画の在り方について」の諮問がありました。私たち県下の小中高校長の代表やスポーツに関係のある有識者から構成される委員15名は審議を重ね6月、大桑堉嗣会長名で答申をしました。

868、これからのNPO法人のありかた

私はNPOが行政と協働していく過程の中で、和歌山の自然、文化、歴史などを考慮し、和歌山らしさが十分発揮される提案が望ましいと思います。それにはNPO自体も補助金目当てだったり、単なるアイデアの提供やアウトソーシング的な発想ではなく、積極的な姿勢で企画提案することが大切です。そこに大きな意義をみいだし、「自分たちがその活動が好きだから夢中になれる。」というスタンスが長続きの秘訣かなと思います。その活動に市民も一緒にいきいき参加することが相乗効果となって、大きなエネルギーを生み出すのではないでしょうか。それがひいてはまちおこしで地域の活性化につながるのです。NPOは目的を持って個性を発揮し、地域に密着した和歌山らしさをアピールできれば、社会的貢献度は高くなります。県下いくつものNPOの企画・提案・活動を拝見させてもらい、すばらしい団体がいっぱいあることがわかりました。令和2年1月12日現在、和歌山県の認証を受けているNPO法人は391団体あります。それに近いがまだ認証していないグループもたくさんあり今後の活動に期待しています。

867、これからのNPO活動

その他の事業は、介護予防の体操2件、子どもにモノづくりを体験してもらう発明教室、アマモ場造成による環境保全、シーニックバイウエイプロジェクトと一緒に地域通貨「ちゃら」を使った清掃活動、リサイクル材使用による道路景観事業、万葉妹背山についての冊子製作と歴史探求の8件。どれも優劣をつけがたい活動で県(担当課)との協働もうまくいって採択から実施まで短い期間だったにもかかわらず充実した成果が報告されました。

最後に、選定委員を交えての意見交換会が開かれました。委員は事業の継続や協働の広がりを課題としてあげ、堀内委員長は「行政職員もNPO活動への参加率をあげるべきです。行政とNPO、企業、大学が地域に根ざした活動を進める中で協働とは何かを考えるいいモデルとなり、それぞれが力を付けました。今後は県レベルから市町村レベルに移行していく段階に入ってきています。」と総括しました。

866、外国人のための防災マニュアル

選定後は各団体が事業を行い、堀内秀雄和歌山大学生涯学習教育センター教授を委員長に6名の選定委員が、採択された8件の事業を現地状況調査し、成果や問題点を評価しました。3月24日「協働をふりかえる会」としてNPOと担当課による成果報告がありました。私は、御坊市の御坊アジア友の会(古山隆生代表)の現地状況調査に行きました。県(文化国際課)が提案したテーマにそった「外国人のための防災マニュアル」の冊子ですが、解説が5ヶ国語に翻訳され個別に配布するなど行政では難しいことでもNPOだからこそできたのだと協働のすばらしさを感じました。

865、プレゼンテーションの審査

NPO協働推進課では平成17年度と18年度に県から提示する課題テーマを解決するための企画提案を募集しました。応募のあった16団体の中から書類審査と担当課との協議をクリアし、プレゼンテーションを審査し8つの団体を選定しました。

選定にあたっては、先進性・先駆性等アイデアの視点が新しいか、県のニーズにあっているかどうかの企画力。事業への熱意があり事業を遂行できる組織体制があり、事業の場所・時期・方法が妥当で予算の見積が適正であるかどうかの実行力。県が行う施策としてふさわしく、緊急性が高く、不特定多数の利益につながるかどうかの公益性。コスト意識を持ち、行政が実施するより少ない予算で大きな効果があるかどうかの費用対効果。今後様々な活動に発展する可能性があり、成果が広く県民に還元されるかどうかの効果波及性。の5つの視点からポイントをつけて評価しました。

864、パートナーシップが構築に向けての提言

平成16年4月に、和歌山県における行政機関、NPO及び営利団体が相互の理解を深め、連携することにより、県民に対してより効率的、効果的な公共サービスを提供するためのパートナーシップが構築できるよう、行政機関、NPO及び営利団体間の定期的な協議の場として「行政とNPO等のパートナーシップ協議会(和歌山大学経済学部ビジネスマネジメント学科教授の岩田誠会長)」が設置されました。平成17年3月には提言がまとめられました。

 まず、行政への提言として①ガイドラインの周知徹底②人材交流③NPO活動基金の創設④立ち上げ支援⑤地域にあったNPOとの協働やNPOへの支援制度の研究の5つ。

NPOに対しては①委託や助成に頼らない自主財源づくり②情報公開のガイドラインの創設③シンクタンク機能の充実④社会的責任の発揮とマネジメントの強化の4つ。

 行政とNPO双方への提言として①広報媒体によるNPOの周知②行政、NPO、市民によるタウンミーティング等の定期開催③協働事業評価の実施と情報開示④人材育成をあげ県民参加による活力あふれるふるさと和歌山づくりの契機となることを期待しています。

863、和歌山県のNPO協働推進課の取り組み

平成18年度和歌山県が実施した「わかやまNPO協働モデル事業」の選定委員をさせてもらいました。1年間をふりかえる前に和歌山県のNPO協働推進課の取り組みからたどってみようと思います。

 平成16年9月和歌山県では当時の中山次郎副知事を会長とする和歌山県NPO推進庁内連絡協議会が「NPOとの協働推進ガイドライン~行政職員のためのNPOとの協働推進の手引き~」を策定しました。(平成18年3月小佐田昌計前副知事会長時に改訂)それによると、「限られた予算の中、これからの県政においては、県民の自発的な公共活動を行っているNPOとの協働が不可欠で県全体の共通認識をガイドラインで図ったうえで行政職員にNPOとの協働を推進していってもらいたい。」というのが策定の趣旨です。まず、NPOについての基本的な理解と協働について述べられ効果的な協働を推進するための手順が示されています。

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