1022、新しい足(産経新聞)

新しい足

12年間連れ添った車とお別れすることになった。今年に入って、あちこち故障しだしてとうとうクーラーが効かなくなってこの暑い夏を乗り越える事が出来なくて14万キロメートル程走ってくれた愛車を手放すことになった。

 生まれつき重度の障害を持ちほとんど歩けず、車いすで生活している私が、高校を卒業し大学へ進学するにあたって、手動式の車の運転免許を取った。オートマチックの車を買って手動式の装置を取り付けて、自動車学校に持ち込んで専属の先生の指導を受け、合格した。左手には、押したらブレーキ、引いたらアクセルが動く装置だ。ハンドルにはレバーが付いていて、右手で回す。

それからは、寮から大学まで特別に自家用車での通学を許可してもらい、長い休みには神戸から運転して帰省した。卒業後は、通勤や買い物に使ったり、入院中以外は乗らない日がないぐらい毎日運転した。無事故無違反で表彰してもらったこともあるほど安全運転を心掛けている。

 18歳から車に乗っているので何度か買い換えたが、12年も長く私の足となってくれた車は他になく色々な思い出が詰まっている。友達を乗せてあげた時「障害者に世話になるなんて」と言われたが「障害があっても人の役に立ててうれしいよ」と。

 ほとんど歩けない私があちこち行けるのも車のおかげ。これからは新しい足と仲良くやっていきたい。新しい足は、どんな未知の世界に私を運んでくれるだろうか?

投稿者プロフィール

柳岡 克子(やなおか よしこ)
柳岡 克子(やなおか よしこ)
車いすの元気配達人として全国講演活動をしています。子どもから大人まで90分のお話しがあっという間だったと好評です。そのバイタリティーがどこから来るのか実際聴いてみてください。



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