585、メディアが取り上げる障害者とは

私は、『バリバラ』の前の番組「きらっといきる」の第15回ゲストとして出演しました。30分番組で間の10分の映像ドキュメントの撮影に4日かけて密着取材されました。母も「障害のあるお子様を産んで大変でしたね?」とインタビューされ、「歩けたことも喜び、学校に行けたことも喜び、仕事が出来るようになったのも喜びで、60点ぐらいの普通のお子様なら40点の喜びをもらえますが、0点の仮死状態で産まれゼロからスタートしたので、100点分の喜びをいただけて私は幸せです」と答えました。母は、放送を楽しみに友達に「テレビ出るから見てね」と触れ回り、オンエアでカット。私は「大変でした」と涙の一つでも流しておけばカットされることはなかったのではないかと思いました。苦労した母親でないと絵にならないのです。きっと苦労はしているでしょうが、母には吹き飛ばす明るさがあり障害者の番組にはふさわしくなかったのでしょう。私も「料理を作って下さい」と言われ、カメラがまわる中チキンライスを作りました。しかし玉ねぎのみじん切りも細かく上手で「障害者らしく」なかったので採用されませんでした。また、選挙に立候補してしまうと落選しても次を狙っての売名行為として受け取られメディアからは遠のくのです。乙武君のようにぎりぎりまで引っ張って有名になった上での立候補であれば彼は両手足がなくさわやかなイメージでイケメンで「絵になる障害者」だったのです。そのさわやかさが裏目に出たスキャンダルもまたメディアとしてはいいネタとなったのです。

障害者がメディアにとらえられるにはまだまだ多くの障壁があります。メディア側にも視聴者側にもバリアがあってこの心のバリアがなくなって、がんばらなくても、感動してもらうのではなく普通にメディアに出られる時代が来るよう願っています。

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柳岡 克子(やなおか よしこ)
柳岡 克子(やなおか よしこ)
車いすの元気配達人として全国講演活動をしています。子どもから大人まで90分のお話しがあっという間だったと好評です。そのバイタリティーがどこから来るのか実際聴いてみてください。



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